季節のゆらぎもセルフコントロール。「肝」をいたわる春の養生食
心身のエネルギーが大きく動き出す季節、「春」。新しいことが始まるワクワク感の一方で、「なんだか気分がソワソワする」「ぐっすり眠れない」「イライラしやすい」といった“何となくの不調”を感じてはいませんか?実は、東洋医学において春は「肝の季節」。冬の間に縮こまっていた心身が、春の訪れとともに一気に広がろうとする時期です。しかし、急激な変化に体が追い付かないと、エネルギーの巡りが滞り、心や体に揺らぎが生じてしまいます。
「季節の変わり目だから仕方ない」と諦めてしまう前に、日々の食事で優しくメンテナンスをしてみませんか。今回は、春を健やかに過ごすために、今日から取り入れられる養生のコツをご紹介します。
漢方の体質診断で、自分の不調を言い当てられたことをきっかけに薬膳をスタート。体質に合う薬膳茶を毎日飲み続けた結果、半年後には不調が改善。そこから東洋医学・中医学の学びに深く入り、現在は「自然治癒力を目覚めさせ、元気にイキイキ!」をテーマに、無理なく日々の生活に取り入れやすいセルフケアを伝えるため、薬膳茶会や顔ツボワークショップ、気功の練習会などを開催し活動中。

「肝」の役割を知っていますか?
東洋医学には、体の機能を5つに分ける「五臓(ごぞう)」という考え方があります。その中でも「肝」は、単なる臓器としての肝臓を指すだけでなく、「血流」や「自律神経」までも網羅する非常に広い役割を担っています。つまり、体の中で最も多くの血液が蓄えられている“血液の貯蔵庫”であると同時に、全身のエネルギーである「気」の流れをスムーズに整えて情緒を安定させる“自律神経の調整役”という、いわば心身の司令塔のような存在です。
春に大切な「ゆるめる習慣」
春は「肝」が頑張りすぎて乱れてしまうことで、自律神経のスイッチがうまく切り替わらなくなり、情緒の乱れや胃腸の弱まりなど“なんとなくの不調”として現れやすくなります。この時期、最も大切なのは「のびのびと過ごすこと」。
きつい服で締め付けず、ゆったりとした格好で散歩をしたり、髪をほどいてリラックスしたり。心身を「緩める」ことが、肝の負担を減らす第一歩です。
香りと彩りで、滞った「気」をほどく
春の食養生のポイントは「肝の巡りを良くし、胃腸(脾胃)を守ること」。
肝が元気になりすぎると、お隣の胃腸を攻撃してしまうことがあるため、セットでケアするのが中医学の知恵。
特におすすめなのが、香りの強い野菜(青い野菜)です。
セロリ、春菊、ニラ、菜の花などの「香り」や「ほのかな苦み」は、滞ったエネルギー(気)をスムーズに流し、昂った神経を鎮めてくれます。
おすすめレシピ❶ セロリと豚肉のさっぱり炒め
おすすめレシピ❷ 春菊とアサリの温サラダ
生のサラダよりも、サッと茹でて「温」でいただくのが胃腸に優しいポイント。
アサリなどの貝類(鹹味:かんみ)を合わせることで、肝に栄養を与え、乾燥しがちな肌や瞳に潤いを届けます。
酸味は「ほどよく」、だしは「しっかり」
中医学では「肝」を助ける味覚として「酸味」をあげています。ですが、実は摂り方にはコツがあります。
レモンやトマトなどの爽やかな酸味は、ストレスで高ぶった気分を緩めてくれますが、摂りすぎには注意が必要です。特に冷えがある方や胃腸が弱い方は、控えめにするのが正解。自分の体調と相談しながら、アクセント程度に取り入れるのが「養生」の極意です。
また、「だし」の活用は春にも最適です。
干しシイタケや昆布、アサリなどから取った豊かな「だし」は。弱りやすい胃腸を優しく保護し、人工的な甘みを欲する気持ちを落ち着かせてくれます。
おすすめレシピ❸ にらと春菊の「ふわ玉」だしスープ
干しシイタケやアサリの出汁に、ニラと春菊、そして海藻(乾燥わかめなど)を加えます。
・ニラ:血を動かし、体を温める
・春菊:香りでイライラを鎮める
・海藻・だし:胃腸を整え、デトックスを助ける
ふわふわの卵でとじることで、メンタルを安定させる優しい一杯になります。
食卓から「肝」を慈しむ、小さな一歩
春の“なんとなく不調”は、あなたの「肝」が一生懸命に季節の変化に対応しようとしているサインです。
香りのよい旬の緑野菜を食卓に並べてみる
酸味は「隠し味」程度に、心地よく取り入れる
温かい「だし」で胃腸をホッとさせてあげる
そんな小さな選択が、自分を慈しむメンテナンスに繋がります。この春は、頑張りすぎない「養生食」で、軽やかな毎日を楽しみましょう。







